AGAの治療でよく聞かれる不安が「副作用があるって聞いたから心配」という声です。
AGA治療について正しい知識や認識が一般にまだ浸透していないため、副作用を過剰に心配して治療をしないという方も多いのではないでしょうか。
週刊誌でも過剰にAGA治療薬の副作用をあおる記事も見られます。
結論から言いますと、AGAの一般的な治療における副作用は、過度に心配するほどではありません。
AGAの代表的な治療薬であるプロペシアの副作用の発症率は、0.2%〜1%と言われています。
これを高いと取るか低いと取るかは人それぞれですが、もっと可能性が高いと思っていた方も多いのではないでしょうか?
今回は、AGAの各治療法の副作用についてわかりやすく解説していきたいと思います。
プロペシアの副作用
AGAの代表的な治療薬である「プロペシア」。
プロペシアに関しては、その副作用にさまざま憶測が飛び交っており、「なんとなく危険な気がする」というように、正しい知識なしにプロペシアを遠ざけている方も多いのではないでしょうか。
不安な副作用としてよく聞かれるのが「男性機能の低下」です。
確かに副作用として男性機能の低下は発症する可能性はあります。
しかし、その確率は高いと言える数値ではありません。
プロペシアの副作用について詳しく見ていきましょう!
プロペシアの副作用
プロペシアの臨床試験において、確認されている主な副作用は以下の通りです。
・性欲減退
・射精障害
・肝機能障害
これらはいずれも0.2%〜1%程度の発現率となっています。
大きく分けると「生殖器関連」と「肝機能障害」です。
生殖器関連はいずれも1%程度以下で、過度に心配するほどの数値ではないことがわかります。
「プロペシア=男性機能に支障をきたす」という世間一般で思われているような認識は、これほど高くない数値なら、「正しくはない」と言えるのではないでしょうか。
また、「もう1つの主な副作用である肝機能障害ですが、こちらに関しては副作用の発現率に関しての正確な数値は発表されていません。
しかし、こちらも頻繁に副作用が起こるというほどの発現率ではないことは確かです。
ただ、肝機能障害の副作用の可能性について気をつけなければいけないのは、「プロペシアは肝臓で分解される」ということです。
分解するということは、少なからず肝臓に負担をかけていることになるので、肝臓に持病をお持ちの方などは注意が必要です。
服用する際は、必ず医師との相談の上、処方してもらってください。
副作用だと間違われやすい初期脱毛
プロペシアの副作用として間違われるのが、服用後の「初期脱毛」です。
「プロペシアを飲み始めたら髪が生えると思っていたのが、逆に抜けてきた」というケースです。
薄毛を心配する中で、抜け毛に敏感になる気持ちもわかります。
しかし、心配は要りません。
こちらは副作用というと語弊があり、逆にプロペシアの効果が現れ始めている証拠です。
AGAは、髪の毛周期が乱れることによって起こります。
髪の一本一本がAGAの影響により、早く抜け落ちてしまうのです。
プロペシアはこの毛周期を正常な状態に戻すための治療薬です。
正常な状態に戻す過程で、成長がストップし抜けるのを待っている状態にある「休止期」の髪に薬が作用し、本来抜けるはずだった髪が一気に抜けていってしまうため、初期脱毛は起こります。
初期脱毛は、AGAが進行していればいるほど抜ける量が多いと言われています。
AGAが進行して休止期に入ってしまった髪が多いから、抜ける量も多いというわけですね。
初期脱毛は一般的に、飲み始めから2〜3週間で発生する可能性があり、だいたい2〜3ヶ月程度で終わるケースが多いです。
慣れない薬を飲み始めた直後に大切な髪が抜けていくので、焦ってしまうと思いますが、初期脱毛があることを知っておいて、冷静に対処してくださいね。
フィナステリドの副作用
フィナステリドは、プロペシアのジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品って?
プロペシアの有効成分も「フィナステリド 」で、その名前がそのままジェネリック医薬品の名前として使われているので、少しややこしいですが、とりあえず難しいことは考えず、フィナステリドは、プロペシアの安価版のジェネリックだと思っていてください。
ジェネリック医薬品は有効成分や効能がほとんど一緒で、値段だけが安く販売されている治療薬のことを言います。
元の薬の特許が切れたので、研究費や開発費を含まないジェネリックは安価に販売されています。
安いからと言って効果が低いというわけではないので、ジェネリック医薬品は積極的に利用した方がいいと思います。
フィナステリドの副作用
フィナステリドは、プロペシアと有効成分や構成成分がほとんど一緒のため、可能性のある副作用も副作用の発現率も同一と考えてください。
男性機能の低下、肝機能障害の副作用の可能性があり、いずれも1%以下程度の発現率です。
ザガーロの副作用は?
プロペシアとともに、現在AGAの治療に多く用いられるようになってきた「ザガーロ」。
プロペシアと同じく、AGAの進行を抑える働きがあります。
ザガーロは、プロペシアよりも強力だと言われています。
それは、体内で作用する範囲が広かったり、効果の有効時間が長いことからそう言われています。
ザガーロの副作用は、過去の実験でプロペシアよりも高い発現率を示しています。
ザガーロの副作用の発現率は、どの症状も5%以下程度です。
主な副作用の症状は次の通りです。
・性欲減退 5%程度(8%)
・射精障害 2%程度(4%)
主に、生殖器関連の副作用が多くなっています。
()内の数値は、他の臨床試験での数値です。
数字に若干幅がありますが、10人に1人は副作用が起こる可能性があると捉えておくといいと思います。
また、稀に(1%以下)乳房障害が起こることも報告されています。
乳房が腫れたり、痛みを感じるといった症状です。
こうした症状が現れたら、すぐに医師に相談してください。
ザガーロのジェネリックはない?
ザガーロには、まだ国内で承認されたジェネリック医薬品はありません。
これはザガーロが2015年に認定された新薬であるためです。
まだ特許が切れていないため、国内にはジェネリック医薬品が存在しないのです。
各クリニックが処方しているザガーロのジェネリック医薬品は、海外製のものであるため、国内の承認治療薬ではありません。
こうした薬を使用して副作用が発生した場合は、国の副作用救済制度が適用されない場合があるため、もし服用を希望する場合は処方しているクリニックの医師とよく相談した上で進めてください。
ミノキシジルの副作用は?
ミノキシジルは、プロペシアの有効成分であるフィナステリドやザガーロの有効成分のデュタステリドとともに、日本皮膚科学会の薄毛診療ガイドラインで最も効果が期待できるとされる「Aランク」に認められている有効成分です。
ミノキシジルはプロペシアやザガーロと違って、「発毛」効果があります。
プロペシアなどはあくまでAGAの進行を止める治療薬なので、発毛効果があるミノキシジルを合わせて服用することで効果的な治療が期待できます。
そのミノキシジルの副作用は、主に「血圧の低下」や「頭皮のかゆみ、湿疹」です。
・めまい、ふらつき
・むくみ
・頭皮のかゆみ、湿疹
・多毛症
ミノキシジルは元々、血圧を下げる薬だったものが、AGA治療でも効果が認められ使用されるようになったものなので、副作用として血圧の低下が考えられます。
それに伴うめまいやむくみなどの具体的な症状も合わせて考えられます。
血圧の持病がある方は、ミノキシジルの使用前によく確認してください。
そして、ミノキシジルで多いと言われる副作用は「頭皮の疾患系」です。
頭皮のかゆみや湿疹など、強いかゆみが起こる場合もあるので、症状が現れた際は使用をやめ、すみやかに医師の診察を受けてください。
ミノキシジル配合で有名な国内の治療薬「リアップX5」が行った調査では、薬の副作用の発現率は8.8%で、そのほとんどが頭皮の疾患系だったという報告があります。
ミノキシジルには、塗るタイプの外用薬と、飲むタイプの内服薬がありますが、内服薬の方が効果が高い分、副作用も強くなる傾向があります。
そして、内服薬の場合は多毛症になる可能性もあります。
髪の毛だけではなく全身の毛に作用するため、起こり得ます。
ミノキシジルも初期脱毛が起こりうる
プロペシアと同じく、ミノキシジルも初期脱毛を起こす可能性があります。
これは、ミノキシジルによって発毛が促され、新しく生えてきた髪が、休止期に入っている古い髪の毛を押し出すためと言われています。
ミノキシジルの使用開始から約1ヶ月程度の間、初期脱毛が起こる可能性があります。
期間は個人差がありますので、あまりに長い間大量の脱毛が続く場合は、医師に相談してください。
プロペシアと併用することで副作用は強くなる?
先ほど、プロペシアやザガーロなどと併用することで効果的な治療が期待できるとのお話をしましたが、副作用はそれに伴って強くなるのでしょうか?
答えは、NOです。
どちらも違う作用があるので、可能性のある副作用は異なります。
単純に両方の薬を服用するので、副作用全体として発現率は高くなりますが、起こりうる副作用が強くなるわけではありません。