プロペシアとザガーロって何が違うの?

クリニックに行った時に「プロペシアとザガーロのどちらにするか?」という話を医師にされた方もいるかもしれません。
近年、AGAの治療薬にザガーロが選択肢として加わり、ザガーロを勧めるクリニックも増えてきました。

 

プロペシアもザガーロも同じようにAGAの進行を食い止める効能を持っているのですが、患者としては具体的にどのように違うのかがハッキリわかりません。

「ザガーロはプロペシアよりも強力」と一般的には言われていますが、これは一体どう強力なのでしょう?
このページでは、プロペシアとザガーロの違いについて詳しくお話ししていきます。

 

AGAの発生の原因

プロペシアとザガーロの違いをご説明するのに、まずはAGAの発生の原因からお話しする必要があります。

 

ポイント
AGAの治療は、発生のメカニズムを知っていると損をしない。

 

ヘアサイクル

AGAはジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが原因で起こります。
DHTは、髪の一生であるヘアサイクルを乱します。

髪は「発毛→成長期→退行期→休止期→抜ける」というサイクルを経ていきます。
髪の一生の大部分は成長期の期間で、その時期は4年~6年と言われています。
この間に髪は太く、長く成長していきます。

 

しかし、DHTによってヘアサイクルが乱されると、この成長期が短くなってしまいます。
成長期が短くなるということは、太く、長くなりきらないということで、細く、短い毛のまま抜けていってしまうのです。
こうした髪が多くなると抜ける髪が多くなり、全体的な印象としてもボリュームがなく弱々しい印象になってしまうのです。

 

ポイント
DHTがヘアサイクルを乱してAGAを発症させる。

 

DHTの生成

AGAの原因となる男性ホルモンのDHTは、元々は体内にはありません。
テストステロンという男性ホルモンと還元酵素の5αリダクターゼが結びつくことで、生成されます。

テストステロンは男性らしい身体を作ったり、闘争本能の源となるホルモンなので、テストステロンを失くすわけにはいきません。

そこで、AGAの治療では還元酵素の5αリダクターゼの働きを、薬によって阻害することでDHTが生まれるのを防ぎ、AGAの進行をストップさせていきます。

プロペシアやザガーロはまさに、その5αリダクターゼの働きを抑える効果があるのです。

 

ポイント
プロペシアやザガーロはAGAの進行を止める働きがある。

 

 

プロペシアとは?

それでは、それぞれの薬について見ていきましょう。

 

プロペシアはAGAの治療薬として最も有名で、最も利用されている薬です。
1998年にアメリカで初めて販売され、それ以降世界60ヵ国以上で利用されています。
日本では2005年に厚生労働省の認可が降り、一般的に使用されるようになりました。

 

プロペシアは、DHT生成の原因となる5αリダクターゼに作用し、DHTの進行を抑えます。

有効成分であるフィナステリドは日本皮膚科学会が発表している「脱毛症診療ガイドライン」において「強く勧められる」とされる最高ランクのAランクに認定されています。

 

ザガーロとは?

ザガーロは2015年に厚生労働省で認可されたまだ比較的新しい治療薬です。

ザガーロもプロペシアと同様に5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑える働きがあります。

 

ザガーロの有効成分であるデュタステリドは、フィナステリドと同様に「脱毛症診療ガイドライン」でAランクに認定されており、AGAに対するその高い効果が認められています。

薬の写真

何が違う?

では、同じような働きをもったプロペシアとザガーロは一体なにが違うのでしょう?
その主な違いは、5αリダクターゼに作用する範囲です。

 

5αリダクターゼの種類

5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類が存在します。

 

 

Ⅰ型:側頭部や後頭部にある皮脂腺に多く存在
Ⅱ型:前頭部や頭頂部の毛乳頭に多く存在

 

このうちのⅡ型がAGAと大きく関係しています。
Ⅱ型はAGAの原因物質であるDHTのおよそ7割を作り出していると言われています。

さらに、Ⅱ型から作られるDHTの方が強力にAGAを進行させます。
よって、Ⅱ型が多く存在する前頭部や頭頂部にAGAの症状が出やすいのです。

 

ポイント
5αリダクターゼⅡ型がDHTの約7割を生成するのに関わり、そのDHTはⅠ型からのものより強力にAGAを進行させる

 

しかし、Ⅰ型がAGAと全く関係ないかと言うとそうではありません。
Ⅰ型もDHTのおよそ30%を作り出していると言われていて、Ⅱ型を薬によって抑制してもAGAの症状がなかなか改善しないという方は、Ⅰ型も対策した方がいいでしょう。

 

作用する範囲

ここにプロペシアとザガーロの大きな違いがあります。
両者は作用する範囲が次のように異なります。

 

プロペシア・・・・Ⅱ型に作用する

ザガーロ・・・・・Ⅰ型とⅡ型の両方に作用する

 

ザガーロの方が、プロペシアに比べて作用する範囲が広いのです。
ザガーロの方が効果が「強力」と言われる所以は、この作用範囲にあります。

 

プロペシアを服用していてもあまり改善が見られなかった方は、ザガーロによりⅠ型の5αリダクターゼを抑制することも検討してみましょう。

 

副作用の違い

プロペシアやザガーロは副作用も同じような症状があり、性欲減退や勃起不全などが主な症状と言われています。
しかし、ザガーロの方がよりリスクの可能性が高いことが指摘されています。

プロペシアでは性欲減退が1.1%、勃起不全が0.7%の発現率であったことに対し、ザガーロは性欲減退が3.9%、勃起不全が4.3%だったというデータがあります。

 

プロペシア:性欲減退が1.1%、勃起不全が0.7%

ザガーロ:性欲減退が3.9%、勃起不全が4.3%

 

 

またザガーロでは、1.3%の人に精子量減少が見られたというデータもあります。

ザガーロの方が強力な効果を持つ分、副作用のリスクも高くなっているのです。

 

ポイント
ザガーロの方が副作用のリスクが高い。

 

その他の違い

半減期(=薬の有効時間)

半減期とは、薬を服用してから血液中で有効成分が半分になる時間のことを言います。
これが長ければ長いほど薬が作用する時間が長いのです。

 

プロペシアの半減期は3時間~4時間程度と言われており、ザガーロは41時間とされています。

つまり1日に1回の服用とされていますが、1日の中でもプロペシアは有効成分が弱まっている時間が長いのです。
薬が作用していないということはAGAの原因物質であるDHTが作られる可能性があるということです。

 

一方ザガーロは、半減期が41時間なので、1日1回服用していれば、薬は1日中作用している可能性が高いのです。

 

ポイント
ザガーロは血中滞在時間が長いので、DHTを作る隙を与えません。

 

発毛効果

ザガーロはプロペシアよりも強力だと言われているのは、発毛効果においてもです。
ある臨床試験では、ザガーロはプロペシアよりも1.6倍の発毛効果があったというデータがあります。

 

しかし、これはあくまでヘアサイクルが正常に戻ってきているのが主な要因であって、ザガーロやプロペシアは「発毛を促す」のではなく、AGAの進行を止めるないことが主な役割であることをよく理解しておく必要があります。

 

費用のイメージ

それぞれの費用

新宿では、それぞれの相場は次のようになっています。

 

プロペシア・・・6000円~8000円
ザガーロ・・・・8000円~9500円

 

やはりザガーロの効果を考えると、プロペシアよりも少し高めなのも納得できます。

しかし、プロペシアでも十分な効果が期待できます。
新宿の場合はプロペシアのジェネリック医薬品が、1800円~販売しているクリニックがあるので、これをうまく活用していくのも手です。

 

どっちがいい?

ここまでプロペシアとザガーロの違いについて見てきましたが、効果の程度はザガーロの方が高くなっています。
しかし、その分費用が高いことと副作用のリスクがあることも考えると、プロペシアとザガーロのどちらがいいというのは、個人によって分かれると思います。

 

先ほども述べましたが、プロペシアもザガーロもAGAの進行を抑制する薬であって、発毛を促す薬ではないので、元通りフサフサを目指すという「発毛」まで期待するのであれば、ミノキシジルを併せて使用していく必要があります。

 

そうして考えると、ザガーロに費用を割くのではなく「プロペシア+ミノキシジル薬」の組み合わせにして治療を進めていくのも選択肢の1つとなるでしょう。
それを推奨する医師もいるので、薬を処方してもらう際に医師に相談してみましょう。

 

ポイント
プロペシア+ミノキシジル薬 の組み合わせが治療効果が高く、おすすめです。
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