簡単にまとめると?
AGAは主に男性ホルモンの影響により起こります。
DHTと言われる男性ホルモンの一種が、正常なヘアサイクルを乱し、早く抜ける毛を多くしてしまうことで薄毛になっていきます。
なので、AGAの治療ではこのDHTの発生を薬によって抑えることが基本とされています。
DHTとは?
ジヒドロテストステロンという男性ホルモンのことをDHTと呼びます。
AGAの原因となるDHTですが、もともとは人間の体内には存在しません。
DHTは男性ホルモンの一種であるテストステロンというホルモンが変化して生まれます。
DHTの発生を抑えることがAGAの対策になりますが、具体的にはテストステロンがDHTに変化する過程をブロックすることでDHTの発生を抑えます。
テストステロンがDHTに変化するメカニズム
では、「テストステロンをなくせばいいのか」というと、そういうわけにはいきません。
テストステロンは男性らしい身体づくりや闘争本能を起こさせるホルモンで、身体にとってはなくてはならない成分です。
そこで、鍵となるのが5αリダクターゼという体内にある還元酵素です。
DHTの元となるテストステロンは、5αリダクターゼによってDHTに変換されます。
なので、AGAの対策では、薬でこの5αリダクターゼの働きを抑制することで、AGAの原因物質であるDHTの発生を止めていきます。
5αリダクターゼによってテストステロンから変化したDHTは、髪の毛の成長に関わる遺伝子に指令を出して、通常の毛の成長期間を短くしてしまうのです。
ヘアサイクル(毛周期)とは?
先ほどの髪の毛の成長期間というのが、ヘアサイクル(毛周期)と呼ばれるものです。
ヘアサイクルとは、髪の毛の一生を表します。
髪の毛は生まれてから「成長期」「退行期」「休止期」という3つの期間を経ていきます。
これが髪の毛の一生となるわけです。
・成長期 2年~6年程度 髪の毛が太く、長く成長していく期間
・退行期 2週間程度 毛の成長が止まる期間
・休止期 3~4か月程度 しばらく留まった末に抜け落ちる
このような期間の後、髪の毛は新しい髪の毛に下から押し出されるように抜け落ちていきます。
そして、新しく生えてきた髪のヘアサイクルが始まります。
髪の毛のヘアサイクルはそれぞれ違うため、一気に抜け落ちることはありません。
一日に100本程度が抜け落ちますが、後はほとんどが成長期の期間にあるため、全体としてはフサフサの状態にあるわけです。
DHTが成長期の期間を短くする
AGAはDHTがヘアサイクル乱すことによって起こします。
DHTによって指令を出された髪の遺伝子は、2年~6年あるはずの成長期を短くしてしまうのです。
成長期は髪の毛が太く、長く成長していく期間なので、成長期が短くなってしまうということは、太く、長くなる前に休止期間に入ってしまうことになります。
AGAの場合は成長期が1年未満だと言われています。
DHTによって成長期が短くなった毛が増えていくことで、細くて、短い成長しきらない髪の毛が増え、全体として、ボリュームがない弱々しい印象になります。
それが薄毛の状態です。
ホルモンの影響は薬で治すしかない
ここまでお話しした通り、AGAはDHTというホルモンが大きく影響します。
ホルモンの影響は正直、普段の生活でどうこうすることはできません。
なので、AGAの治療薬でDHTの発生を抑えるしかないのです。
逆にこれまでAGAのメカニズムがわかっていなかったので、不可抗力のようなイメージがありましたが、近年ではそのメカニズムがだんだんとわかってきたため、医療によって高い確率で改善が期待できるようになってきました。
DHTの発生を抑える薬は?
さて、AGA治療の鍵となるDHTの発生を抑える薬ですが、それが有名なプロペシアやザガーロです。
プロペシアはAGA治療で最も使用される治療薬で、有効成分であるフィナステリドが先ほどお話しした5αリダクターゼに作用し、DHTの発生を抑制し、AGAの進行を食い止めます。
そして、ザガーロは2015年に厚生労働省の認可を受けた比較的新しい治療薬です。
有効成分であるデュタステリドがフィナステリドと同じように5αリダクターゼに作用し、AGAの進行を抑制します。
フィナステリドとデュタステリドは同じく5αリダクターゼに作用しますが、この2つでも少し作用の仕方が違うので、詳しくはザガーロの解説ページをご覧ください。
AGA治療において重要なこと
ここまでAGAのメカニズムから、それを止めるための薬の役割についてお話ししてきました。
AGAの治療では、このようにプロペシアやザガーロを使ってAGA進行を抑えていくのですが、ここで注意していただきたいのが、それらはあくまで「AGAの進行を抑制する」治療であることです。
髪の毛をフサフサにする「発毛」の治療ではありません。
あくまで薄毛になっていくのを食い止める治療であることを理解しておく必要があります。
プロペシアさえ飲んでいれば、またフサフサになるだろうと思っている方が多いと思いますが、プロペシアやザガーロだけでは髪の毛は生えてきません。
なので、AGAの進行を食い止めつつも、「発毛」を促すミノキシジルなどの薬を併用させていく必要があります。
どちらか片方だと進行がすすむか、生えてこないという状態になってしまうので、フサフサした髪を取り戻すことを目指すならプロペシアまたはザガーロ、そしてミノキシジルなどの発毛促進効果のある薬を併用していく必要があるのです。